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「ちょこざいなっ!」

お酒を飲みながら日々の雑感をダラダラとつづるブログ

日本酒ブームの功罪

『常識を疑ってみます宣言』をしたのは、

ヤクザと憲法という結構ショッキングなタイトルの映画を見てからでした。

ざっくりまとめると、

今まで「ただ怖いもの」として扱ってきたヤクザも

「実は一人の人であった」

という厳然たる事実を突きつけられた今、

視野狭窄に陥っていたことを反省し

これまで持っていた常識を疑い固定概念を打ち破ろう。

という、そういう宣言です。

そんな影響されっぱなしの発言をしておきながら、

まったくそういうことをしていなかったので、

先ず隗より始めよの精神で日本酒から初めて見ることにしました。

 

 

 

 

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泣く子も黙る沢の鶴です。

言い過ぎですが。

沢の鶴といえば言わずと知れた灘の超有名酒蔵です。

いわゆる大手。

灘は六甲山水系の良質の軟水が豊富に取れたため、

江戸時代には一大産地となっていました。

(ちなみに江戸に"くだる"酒は良い酒である。"くだらない"酒は取るに足らない酒である。ということから『くだらない』という言葉ができたそうな。ほんとかな?)

それが現在でも引き継がれており、灘には大きい蔵が並んでいます。

 

鳥取で日本酒を知ってから地方蔵の思い入れに触れ

「大手の酒は飲むものか」と

半ば私怨的な想いを抱き続けてきたわけです(勝手に)。

飲みもせずに、美味しいわけないと決めつけてきました。

狭量な考えですよね。ほんと。

それを改めてみようと。飲んでみようと。思って飲んだわけです。

 

常温では少しベタつきました。

飛び切り燗(55度以上?)にするとキレッキレになり

香りを気にせず飲めばご飯を邪魔しないお酒になりました。

『あぁ、飲めるんやー』

というのが率直な感想です。

大手の酒って全然飲めるんですねー。

ワンカップ大関なんてアル中のおっさんしか持ってないイメージありますが(言い過ぎました。すみません)、安いだけじゃ顧客はつかないわけです。

安くても『どうしようもなくまずい酒』は売れなくなります。

それなりに味が成立しているからリピーターがいる。

2回目ですが、大手の酒は飲める。

これが飲んでみた結果でした。

飲まず嫌いをしていた私にとって衝撃でした。

 

さて、世間は第何次かの日本酒ブームだと言われています。

日本酒好きの女子がテレビに華々しく映り、地方酒蔵が特集されたりします。

各酒蔵の技術力も上がりまずい酒を見つけることは困難になりました。

「それでいいやん」

と思うと思います。私もそう思ってました。

それがそうでもないなと思い始めたのは新潟に行ってから。

 

以下記事の中頃に日本酒消費量の変遷が載っています。

jp.sake-times.com

これたぶん出荷量だと思うんですけど、平成23年度3323千石だったものが平成26年度は3139千石と減少しています。

1石=100升=1升瓶(1.8L)×100本なので、

この4年間に1升瓶換算で言えば1,840万本減少しているということです。

細々とやってる蔵はだいたい年間数万〜数十万本ほどの出荷量なので、この消費量の減少幅は小さい蔵にとっては死活問題です。

周りを見ていると日本酒愛飲者は増えている気がしますが、消費量は減少していた(マーケットは縮小していた)というのが実情みたいです。

 

酒レポート(以下URL)によると、酒類の消費量は平成20年から850万kl程度で推移し、あまり増減がありません(図4参照)。

https://www.nta.go.jp/shiraberu/senmonjoho/sake/shiori-gaikyo/shiori/2015/pdf/100.pdf

(ってか、ビールの減少率が大きくてビックリしてる。これしっかり読み読み込んだら色々おもしろいんやろうなー)

ということは、日本酒はマーケットの中で"負けてる"ということになります。

 

さて、この原因をどこに求めるかは難しい問題だと思います。

消費者の嗜好の変化なんかもあるんでしょうが、理由の一つに特定名称酒の偏重と純米至上主義(醸造アルコールの忌避)があると思うんですけどどうでしょう?

この仮説について少しお話させてください。

そして皆さんのご意見賜られれば嬉しく思います。

 

そう、ここまでが前置きでした。

 

まずは語句の確認をしたいと思います。

 

特定名称酒】:ある特定の製造方法で作られる日本酒8種類。吟醸大吟醸純米酒等がそれにあたります(詳しくは以下のページを参照してください)。

「清酒の製法品質表示基準」の概要|酒類の表示|国税庁

普通酒(=特定名称酒以外の日本酒。以下ページ参照)と区別してこう呼びます。

普通酒とは - はてなキーワード

 

醸造アルコール】:でんぷん質物又は含糖質物を原料として発酵させて蒸留したアルコールをいうものとする(国税庁)。

だそうです。ようは、色んなものから作られるアルコールです。

原料には、砂糖製造の際にできる残渣や米、さつまいも等が使われます。

(ちなみに酒類の管轄官庁は酒税法の関係から国税庁です。言われればなるほどなーと思いますがなんかちょっと意外ですよね。)

 

特定名称酒偏重』

『純米至上主義(醸造アルコールの忌避)』

を一文で要約すると、

「各酒蔵が普通酒ではなく特定名称酒に重きをおいて作るようになり、米だけで出来た酒、いわゆる純米酒こそ本来の酒であり醸造アルコールを添加したものはまがい物であると考える消費者が増えてきた」

ということです。

 

昭和から平成に移り変わる頃、時を同じくして純米酒ブーム、吟醸酒ブームがおこります(おこったそうです)。

それまで"酔うこと"に主眼を置いていた消費者は"本物"を求めるようになり、醸造アルコールや酸味料等で水増しされたいわゆる三増酒に取って代わり純米酒吟醸酒がマーケットを席巻することになります。

そして現在、少しでも日本酒の知識をお持ちの人は(三増酒時代のイメージが強いんだと思いますが)醸造アルコールが入った酒を忌避する傾向にある気がします。

そんな状況下では、「ましてや普通酒なんて…」といったお気持ちだと思います。

というか、自分がそうでした。

 

しかしながら(当然ながら)、純米酒吟醸酒って高いんですよね。

でもそれが"イコール日本酒"になってるので、そうそう買えないし晩酌用のお酒としても使えない。

結果、『何か特別なことがあった時に飲むお酒』化してしまい消費量が減ってるのではないか。

という主張(仮説)です。

 

これが仮に正しいとすれば、その責任の一端は日本酒業界にもあります。

悪いイメージがある醸造アルコールですが、酒質を整えたり腐敗の危険性を抑えたりときちんと使えば非常に有用なものです。

醸造アルコールを添加したお酒は、酒質がスッキリとし、飲み口が爽やかになります。

さらに、特定名称酒は白米重量の10%と添加する醸造アルコールの上限が決められており、これは水増しするためのものというよりは味の調整をするという性質の方が強いだろうと考えます。

このような醸造アルコールの利点に関する説明や周知を行わなかったために負のイメージを払拭しきれず、消費量の減少を招き自分たちの首を締める様な結果を引き起こすことになったのだろうと思います。

 

日本酒業界、ひいては『地酒』と呼ばれるような地方蔵が生き残っていくためには、日本酒消費量増加を喚起することが必要不可欠だろうと思います。

そのためには、普通酒本醸造酒などの"高くない酒"の消費量を増やす努力が各蔵には求められます。

じゃないと安くて飲める酒を作っている大手に流れるからです。

色んな地域で「日本酒で乾杯を」というキャンペーンをやっていますが、それよりは「日本酒で晩酌を」の方が効果的でありこの方向にシフトしていけるか、そこに訴求できるかどうかが日本酒業界の先行きを左右すると考える次第です。

 

ブームをブームで終わらせないために、

「日本酒って流行ってるのになんで潰れる蔵があるんだろうね?」

というような状況にならないために関係各位の努力が求められるわけです。

が、一つ問題があります。

それはここまでの論旨が正しいのかということです。

タイトルから微妙に話しそれたけど

考えなおすのめんどくさいのでこのままいこうと思います。

ちょっと煽ってる感じになりますね。

「私はこう考えてますがあなたはどうですか?」という投げかけです。

みなさまからの忌憚のないご意見お待ちしております。

 

P.S.安酒を推進するというわけではなく、シーン毎で飲みわけられるようになればいいね。というのがおもな主張です。

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