農産物のブランド化と加工による高付加価値化
という話をよく聞きました。
農業に関心を持っておられる方なら、
「これからの農業はブランド化するか価値を高めるために加工するかが重要だ」と主張される方も多いことだろうと思います。
この主張は、発する側に『農家が儲かっていくためには』という前提があります。
では、果たしてこれから先農家が儲けるために必要なことは
『ブランド化と加工による高付加価値化』
なのか。以下、考えていきたいと思います。
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まずはブランド化から。
ブランド化で成功事例として挙げられるのは、
・宮崎のマンゴー
・岡山の瀬戸ジャイアンツ
あたりかなーと思います。他にも色々あるんでしょうが。
さらに“ブランド”として取り上げられるものには各地域に根付いてるものがあります。
北海道の馬鈴薯や青森のりんご、新潟の米、関東近郊のネギ、嬬恋のキャベツ、静岡のお茶、淡路島の玉ねぎ、和歌山・愛媛のみかん、福岡のイチゴ…etc などがそうです。
「どこどこと言えばなになに」みたいなやつです。
「泉州といえば水なす」みたいな。
わかりにくいでしょうか?わかりにくいかもしれません。すみません。
前者は品種改良や新たな試みとして導入されたもの、
後者は長らくその地域で育てられてきたものとしてその地域や人々の認識として定着しているものです。
今行政が推し進めようとしてるのは前者、と新しい後者の制定です。
わかりにくいですね。
要は新しい作物や品種を作ったり、昔からその地域で育てられてきたけど全国的に有名でなかったものを広めていこう。
ということです。
前者にしても後者にしても全国的に認知せしめる必要があるため広報に膨大な労力と資金がいりますし、それだけのものを投入しても“当たる”可能性はそこまで高くないでしょう。
実際に統計をとったわけではないのでわかりませんが。
現にブランド化していこうとしている農産物は全国において枚挙に暇がありませんが、認知されさらに売れている作物というものを寡聞にして多くを知りません。
ご存じの方がいらっしゃればぜひご教授ください。
つまり、ブランド化して単価をあげようというのはしごくもっともでわかりやすい話ですが、それが成功するかどうかはわかんないよね。というのが現状です。
続いて加工による高付加価値化。
一昔前に6次産業化という言葉が流行りました。
生産の第1次産業、加工の第2次産業、そして販売の第3次産業を足して(もしくは掛けあわせて)6次産業。
『生産→加工→販売まで農家が一手に担ってしまえば効率的やし儲けもまるっと入るやん』
というのが元々の着想で、それいいよねって農水省も政府も乗っかって始まったのが6次産業化のように記憶してます。
そこから自治体も国もそれが答えだと言わんばかりに始めた6次産業化ですが、
加工に必要な機材を購入したのはいいものの、予想以上に加工品が売れず、返済のお金が経営を圧迫するという話はよく聞いていました。
もちろん成功した事例も数多くあるのでしょうが、「6次産業化を目指せば上手くいく」的な風潮には強い違和感を覚えます。
また、加工する時間も取れず第一次産業である生産に忙殺されるのが農家の大半だろうと思います。
『やりたくても無理』というのが現状じゃないでしょうか。たぶん。
ブランド化も加工による高付加価値化も、国・自治体ともに『これこそが道だ』的な感じで進めてきましたがそこまで成果が上がってないんじゃないかというのが個人的所感です。
じゃあどうするの?
って話ですがそんな簡単に答えが見つかるわけでもありません。
ヒントは以前書いた以下の記事にあるかなーと思っております。
今現在、国や自治体がやろうとしてることは『地域』での発展です。
当たり前ですが。それこそ自治体の存在意義だと思うし。
ただ、これからはもっと個の部分になってくるのだろうと考えています。
どういう農法をしているか、どんな場所に住んでいるか、どんな作物を作っているか、よりも“誰”が作っているかが重要になってくるのではないだろうかと思っています。
地域の中には色んな人がいます。
本気で取り組んでる人、多少斜に構えてる人、年金で暮らしていけるからとそこまで力を入れていない人…
そんな人達を十把一絡げで扱うのは無理なのではないだろうかと思っています。
もちろんこれまでの大生産地というのは必要ですし存続していくべきだと思っています。
ただ、指定産地ではないような人たち、指定産地であったとしても食べていけないような人たち向けの方策としては『地域』を対象にするよりも『個』にフォーカスする方がこの先有用なのではないか。
と思った次第です。
相変わらず書き散らかしましたがこんなところにしておきます。
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